燃料電池ってご存じですか?


2000年6月・・その後2回加筆・2005年6月最終


太陽光発電、風力発電など、石油に代わるクリーンで新しいエネルギー源の模索の中、その一つに『燃料電池』なるものがあります。 

太陽光発電=この偉大なる無駄遣い=については、こ ちら。 ※03年加筆なので引用は古いです

本題の燃料電池、表面上は自動車業界において、開発が進められておりますが、住宅産業界では、三洋電機・松下電器・松下電工が日本ガス協会設計のシステムで、開発試作してるようです。
そもそも燃料電池とは、水の電気分解の逆を行うシステムという、コロンブスのタマゴ的発想から成ります。水の入ったビーカーに電極を入れて、電気を流すと水素と酸素が発生します。その逆に水素と酸素を触媒を使って反応させ、電気を発生させます。解りました?
単純に書いちゃいましたが ご興味のある方は下に詳細を挙げましたので ご確認下さいませ。

で、話は戻って、酸素は空気中にいくらでもあるので、水素をどうするかですが、天然ガスやエタノール、ガソリン等から取り出す事が考えられています。そして!この中の天然ガス(都市ガス)から水素を取り出して利用するシステムを住宅に導入できる見通しが立ってきました。
日本ガス協会がNEDOの助成を受け、システムを設計し前記三社が実証設備を製作したと言う事で、大きさは幅950o、奥行き320o、高さ1000oと非常にコンパクト。以前の給湯器の大きさ!で!で!2005年実用化予定です。

そのシステムの内容は、固体高分子燃料電池(PEFC)を中心に都市ガスから水素を取り出す水素生成部、電力変換部、廃熱改修装置などで構成される。PEFCは常温から100度Cで作動する為、起動停止が容易な事から、家庭での使用に適していると言えます。
 

さてそこで『燃料電池』の特徴は、

1, 排出されるのが水蒸気のみでゼロエミッションな事。
2, 発電効率が40%(太陽光発電は10%以下)と効率が良く、発電で発生した排熱は回収して60度Cのお湯に 変換して給湯に利用。
  ちなみに総合エネルギー効率では火力や原子力による大規模発電の0〜40%の効率に比べ、70〜80%に達すると言う効率の高さも上げられます。
3, KWあたりのコストが4000〜5000円と安価な事。現在太陽光発電ではKWあたり90万円、一般に使用している電気もKWあたり20万円かかっていると言う真実。

〜等が上げられ、現在開発されている住宅用システムの導入コストは50万円程度が予想され、出力は1KW、発電された電力は既存の電力系統に接続され、家電製品に供給するとされています。(設定出力が小さいのは馴れ合いの日本社会ならではの現象か?はたまた圧力か?)排熱の利用も含めた70〜80%の見通しだから、電力+ガス給湯器より20%以上のコスト低減と、30%の二酸化炭素の排出量削減が見込まれています。〜とうとう究極の発電システムの登場か?

他のメーカーも開発・研究を発表して頂きたい物です。
 

固体高分子燃料電池(PEFC)って何だ?

2003年7月


燃料電池の原理は、水の電気分解の逆の反応なんて言うととっても解かりやすいけど、実を言うと構造は相当違ってたりします(^-^; そこで固体高分子型燃料電池(PEFC)の構造を説明しますね。

真ん中にはプ□トン(H+)を水素極から空気極(または酸素極〕へ移動させるための50μm程度のフィルム状イオン交換膜がある。この膜が電解質で、リン酸を使ったものはリン酸型燃料電池と呼ぶ。この膜の両側には触媒層が付いている。水素極には白金、白金・ルテニウム触媒が、一方の空気極には白金触媒が使われている。ただし、実際はこれだけではなく、ほかの成分は企業秘密。そして、触媒はカーボン粉末に何個もくっ付いた状態で存在する。

さらに、イオン交換膜と同じポリマーがバインダーポリマーとして触媒とカーボンを覆っている、役目はプロトンを触媒にしっかりと接触させるためである。その両側には集電体があり、これまでのものを1つにしたのが膜・電極接合体(MEA)と呼ばれるもので、まさに燃料電池の心臓部的パーツ。

そして一番外側に溝のあるセパレーターがあり、MEAとセパレーターの間を水素あるいは酸素が通る。これらすべてを1つにしたのがセル。このセルを何十、何百枚も直列につないだのがスタック。セル1枚で約0.7Vの電位差が得られるので、セルを300枚重ねると210Vの電圧が得られる。
自動車のモーターを回したり、家庭で使うにはインバーターで直流を交流に変換する必要がある。では、燃料電池の中ではどのような化学反応が起こっているのか。燃料の水素ガス(H2)が送られてきて水素極の触媒と反応すると電子が飛び出しH+となる。このプロトンが膜の中を通り抜けて反対側の空気極に向かう。空気極では、送られてきた空気中の酸素が触媒のカでH+と仕事を終えて戻ってきたe-と反応して水になる。一連の作動温度は80〜90℃で行われる。

反応により、空気極側には水がどんどん生成されるので排水しないと、水が触媒を覆って酸素と接触できなくなってしまう。

しかし、ここでちょっと厄介なのはPEFCではイオン伝導物質が水のため、イオン交換膜は水がないと働かない。乾燥させてはいけないのだ。そのため、水素極では水素ガスを加湿した状態で供給している。適切な水分管理が重要なのだ。水はそのまま水蒸気として大気に捨ててもいいが、空気や水素方スの加湿に使ったり、天然ガス、メタノールを燃料に使った場台の改質用に再利用する。

ここで改質という言葉が出てきたので説明しよう。燃料には水素を使うが、現在インフラ面で純水素を供給できる体制にはない。そこで、天然ガス(主成分メタンCH4)、メタノール、ガソリン、プロパン、ブタンといった、水素を含んだものを燃料に使う。

これらの燃料に高温下で水や酸素を混ぜて水素を取り出すのが改質。純水素を使う場台に出てくるのは水だけだが,改質燃料の場台、CO2、NOX、CO、HCが少ない畳だが発生する。COは触媒と相性がよく吸着して水素を阻害する。すると、H2はH+になれず性能を落としてしまう。これをCO被毒と言う。そのため、改質では燃料中のCO濃度を10PPm程度に抑える必要が有り、ここが各社腕の見せ所なのである。うんうん。 



参考画像

米ロスアラモス国立研究所、米モトローラが試作した、超小型ダイレクトメタノール燃料電池(DMFC)通常の蓄電池の10倍のエネルギー密度があるらしく、携帯電話なら一ヶ月以上、パソコンなら20時間使用可能との事3〜5年以内に生産に入るという。
寸法は 3.8cm×3.8cm×3.2cm(ちぃっちゃい・笑)中には2つの燃料電池と燃料のリザーバーが入っているんだって 。けどこれはまだまだ。

燃料電池の性能を計る目安は、スタック重量(s)当たりどれくらいの出力(kW)が出るか、また容積(L)当たり何kWの出力が出るかだ。目標数値は「1以上。現在最先端を進んでいるとみられるカナダのバラード・パワー・システムズが昨年秋に公表した(Mark900)スタックの出力密度は、1.31kw/L(純水素)、1.23kw/L(メタノール改質)。

モジュールでも同1.04、同O.97。スタック容積は61Lで、空気加湿器、マニホールド、センサーなど加えたモジュール容積は77L出力は純水素で80kW、メタノール改質で75kW。

また、燃料電池のエネルギー効率はセル電圧に大きく依存する。システム的には、燃料利用率をどこまで上げて熱的バランスを取れるか、またコンプレッサーの補機動力をどこまで下げられるかがポイントになる。さらにインバーター効率も効いてくる。なお、燃料を送る際に高圧にすると、同じセル電圧でも多くの電流がとれるので 、出力を高めることができるが、空気コンプレッサー等の動力が必要になって来ると言う仕組みなんです。

燃料電池自動車には、まだ時間がかかるだろうけど、
家庭用発電はもうすぐそこ!。発電して発熱、ゼロエミッションは、もう見えかけてきましたよん(謎)

そんなこんなの燃料電池開発。太陽光なんかよりずっと良いぞぅ(^-^;
 

参考資料: TRIGGER『日刊工業新聞社』

で その後の考察

2005年6月


 

2005年になっても 全然出てこない・・

ただ 何かと話題にはなってきているみたい。ただーしっ 燃料電池は一般に 水素から電気を作るので CO2は排出しないと受け止められています。 そこで加筆。

確かに水素そのものを使えばCO2は排出しません。

しかし その水素を得るために現状では天然ガス(都市ガス)・LPG・灯油などの炭化水素を改質(水素とCO2に分ける処理)を行います。
実は ここでCO2が排出されているのです。

つまり 前述の化石燃料を利用する燃料電池はCO2を排出する。このことを踏まえておかなければいけません。多くの燃料電池のパンフレットやHP、資料などにこの部分が、どうもぼかされている印象を受けます。これは意図的なものな のでしょうか、偶然的なものなのでしょうか。ただし 燃料電池もコジェネとして利用されれば CO2は出るものの従来のシステムよりCO2を減らすことができます。この点に置いて 環境に良い商品とも言えるでしょう。

現在の燃料電池ではCO2は排出します。ただし他のエネルギーと比べた場合 画期的で無いにしても 持続的な可能性が大きいと思っています。

ただし 現在の状況では ますますCOP値も上がるだろうヒートポンプ式給湯の方が(エコキュートね) 遙かに現実的なのかもです。